犬夜叉

12年間に渡って連載された高橋留美子さんの犬夜叉は好きな漫画の1つです。四魂の玉という何でも願いを叶えるという玉を巡って、妖怪と戦います。
半分人間で半分妖怪である犬夜叉と中学生のかごめの恋愛の行く末、因縁の敵の奈落との長い戦いなど、終わりまで目が離せないお話ですね。
ここからはネタバレを含む個人的な感想となっています。内容を知りたくない方は、ブラウザバック推奨です。



個性的なキャラクター達が登場します。助平だけれども、ここぞではしっかりしている弥勒。男勝りで勝ち気ですが、人質として囚われている弟の存在から弱さも時折見せる珊瑚。この2人の恋愛模様も良かったですね。色々なキャラクターはいるのですが、個人的に好きなのは、殺生丸です。

殺生丸は犬夜叉の異母兄弟の兄です。母親もれっきとした大妖怪です。そのため、犬夜叉含めて半妖を見下しています。殺生丸は父から犬夜叉に授けられた鉄砕牙という剣を手に入れようとします。殺生丸も天生牙という刀を受け取っていますが、それは斬ることのできない命を救う刀でした。闘いに使う事のできない刀に価値を見出だせないため、鉄砕牙を欲したのです。

殺生丸は妖怪の戦闘力としての強さの成長、孤高でありながらも、他者との関わりからの精神面の変化が描かれているように感じました。

犬夜叉の鉄砕牙を奪おうとするも、返り討ちにあい深手を負ってしまいます。とある人里で介抱されていました。介抱していたのは声の出ない少女のりんです。りんは殺生丸からすれば弱い存在であるもの、一生懸命に介抱をします。この出来事は殺生丸の価値観に変化をもたらします。後に人喰い狼に襲撃され、りんは殺されます。りんに対して天生牙で殺生丸は生き返らせました。

殺生丸は孤高で強い存在であり、りんは両親が殺されている事もあり、孤独で弱い存在です。それでもりんは、目の前の見知らぬ傷ついた妖怪を介抱したのです。自分自身に余裕が無かったり、不幸であったりする状況では他の人の為に何かをするという事は難しい事であると思います。また、誰かの為に何かをするのは、見返りを求めたり、利害関係が一致したりする事が多いのではないでしょうか。りんの行った行為はそれらにも該当しないのです。

弱肉強食の世界として、強い者が生き残り、弱い者が死んでいくのが前提にあるとします。それだけでは一概に言い表せないような理不尽さも、この世にはある事だと思います。自分以外の何かの為になる事を実践できるのであれば、その存在を否定まではしなくても良いというように解釈したのでしょうか。真意は分かりませんが、殺生丸はりんと出会う前までは弱肉強食の概念が強かったように思えました。

また、奈落の分身体で命を握られてしまっている神楽の存在も大きかったと思います。神楽はただ自由に生きたいという願いがありました。奈落を倒すための手駒を集めようとしていたのです。殺生丸はそれも見透かしていました。そんな神楽は、奈落に命をもてあそばれるように死にます。その最期に会ったのが殺生丸でした。殺生丸は奈落に利用された過去、神楽に対しての悼む気持ちから奈落を追うようになります。

りんと出会う前の冷酷な殺生丸ならば、神楽の死に何も感じなかった事でしょう。しかし、この世が例え強い者が生き残りやすい世界だとしても、命をもてあそぶような事には、怒りを感じるようになったのかもしれませんね。

妖怪としての戦闘力は元々高いものでしたが、それも成長しています。
精神面の成長も相まって、天生牙での攻撃的な技である冥道残月破を習得します。それを完全なものにするために技を磨きます。試練を乗り越え完全な形で使えるようになりました。しかし、その技の本来の力を出すためには、鉄砕牙が必要である事を後に知ります。その後に自身の新しい武器である爆砕牙を手に入れます。

修練してようやく習得したかに思えたところでの、自分では完璧には使いこなせない事を知るというのは、かなりのショックだと思います。それは、将来にしたい仕事があったとしても、必ずしもその仕事で活躍できるわけではない事にも似ているようです。そのような挫折をしたとしても、自分自身の課題を解決しながら、より自身にあった仕事で活躍できるのも良い事だと思います。

犬夜叉は恋愛もの、バトルもの両方の視点から見ても楽しめる作品だなと思います。

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