ゆるやかな繋がり
杖をついた高齢の女性とその付き添いの女性を見かけた。段差、気をつけて下さいねと付き添いの方が話す。そういう言葉だけではなく、お互いに談笑していた。マスクをしていても、お二人の目元は優しく笑いあっている事が分かった。
私は特急の自由席に座っていた。お二人が私の近くを通り過ぎる際に付き添いの女性が尋ねてきた。
「この車両は自由席ですか」
「はい、そうですよ」
付き添いの女性はありがとうございますと言い、私は会釈をした。少しずつ遠ざかっていく声が聞こえる。良かったですね、車両は間違いないですよ。どのあたりに座ろうかね。このあたりどうですか、混んでなかったら少し離れて広く座りましょうか。
ふと改めて気づいたが、外に出るということは、目的地に向かい要件を済ませるだけでは無い。何かをする過程で何かしら人との関わりがある。ただ、それだけなのだが、それが心地良く感じたり、時にはそうでもなかったり不思議。
付き添いの女性の方は、外出を手伝っているだけではない。ごく自然に、迷惑にならない最小限でそういう機会を高齢の女性の為に作り出していた。腕利きの演出家?脚本家?監督?ならば私は助演・・・いやエキストラ(笑)
名も知りもしない監督さん、私はお役に立てましたでしょうか?私はお二人の楽しげな空間をお裾分けして頂けたような気がします。あの時は会釈だけでしたが、改めましてありがとうございました。
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